※ご注意:当院では脂肪溶解注射の取り扱いはございません。本記事は一般的な医学的知識の紹介を目的としたものです。
みなさん、脂肪溶解注射をご存知でしょうか。 痩身系クリニックや美容クリニックで最近取り扱いが増えてきた、新たなダイエット療法です。気になる部位に注射することで “部分痩せ”が可能となることを謳っています。 今回は、そんな脂肪溶解注射について見ていきましょう。
脂肪溶解注射の特徴

脂肪溶解注射は名前の通り、注射を打つことによって局所の脂肪をなくし、部分痩せすることを目的とした治療法です。本治療が世に出たのは2000年台初頭で、比較的新しい治療法と言えます。
脂肪溶解注射には、従来の脂肪吸引手術とは異なり、以下の特徴があります。
- 切開を伴う手術に比べて身体的負担やダウンタイムが抑えられやすい
- ピンポイントでわずかな範囲の脂肪へアプローチする
- 施術時間が比較的短い
脂肪溶解注射の主な成分
デオキシコール酸
デオキシコール酸 脂肪溶解注射の成分の一つとして、デオキシコール酸と呼ばれる物質があります。デオキシコール酸は胆汁酸の一種で、米国食品医薬品局(FDA)等で承認されている薬剤もありますが、日本国内では痩身目的での医薬品としては未承認です。脂肪細胞の細胞膜に作用する性質があるとされています。
フォスファチジルコリン(PPC) 脂肪溶解注射に用いられることがある物質として、フォスファチジルコリン(PPC)があります。主にサポート成分として配合されることが一般的ですが、こちらも日本国内では痩身目的での承認医薬品ではありません。
脂肪溶解注射の適応部位と効果について
脂肪溶解注射は全身に投与することができますが、脂肪量によっては、その効果が十分に表れないケースがあるようです。
脂肪溶解注射は、お腹や太ももなどの広範囲に広がる大量の脂肪に対する施術としては変化を実感しにくい場合があります。一方で、顔周囲など局所的・限定的な範囲への施術に適した選択肢とされています。
脂肪溶解注射の主な副作用・リスク
- 注入量や部位の特性によっては、均一な除脂肪効果を得ることが難しく、仕上がりにわずかな凹凸や左右差が生じるリスクがあります。
- さらに、ダウンタイムの少なさが魅力の一つですが、針を刺す以上は、数日間に及ぶ局所の腫れや皮下出血のリスクは、常に考えておく必要があります。
- 注射後は、元の生活習慣を維持できれば、その効果が長期間にわたって維持されやすいのが特徴です。実際に脂肪細胞の数自体は、施術に伴い減少するようですが、その後、残った脂肪細胞が肥大化するケースもあり、その場合はリバウンドのリスクがあります。
未承認医薬品等に関する表示
・未承認医薬品等であること
本施術に使用される薬剤(デオキシコール酸・PPC製剤等)は、日本国内において医薬品医療機器等法上の承認を得ておりません。
・国内の同効医薬品の有無
国内において、同様の効能・効果で承認されている医薬品はありません。
・諸外国における安全性等の情報
米国FDA等で承認されている成分(デオキシコール酸等)もありますが、諸外国においても重篤な有害事象(局所の組織壊死や神経損傷等)が報告されている場合があります。
・医薬品副作用被害救済制度について:万が一重篤な副作用が出現した場合、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。
記事の執筆者

NAG整形外科院長:南雲 吉祥
整形外科専門医、スポーツドクター。元は整形外科領域のがん治療医として活動。その後、米国で再生医療の研究に従事する。渡米中のケガをきっかけに、スポーツ医学の重要性を認識。帰国後、スポーツ外科医に転身する。
現在、アスリートを血液解析と再生医療を用いた医療技術でサポートする、「アスリートサポートプログラム」を展開中。紹介ページはこちら。
