ボディビル競技に復帰!PRP治療で肩関節機能を回復した40代男性

患者さんについて

今回ご紹介するのは、ゴールドジムのトレーナーとして働く40代男性の患者さんです。学生時代は体操競技に励み、22歳頃からトレーニングを開始。ボディビル歴は18年に及びます。過去には日本ボディビル選手権で3位に入賞するなど、確かな実績を持つトップアスリートでもあります。日々の生活の中心には常にトレーニングがあり、その情熱はトレーナーとして指導する会員さんたちにも良い影響を与えてきました。

来院のきっかけ

長年にわたる高強度のトレーニングは、肩関節に大きな負担を蓄積させていました。次第に腕を思うように上げることができなくなり、やがて日常生活にまで支障をきたすようになりました。これまで人生の大部分を占めていたトレーニングができない状況に陥り、生活から張り合いが失われました。その結果、精神的にも大きな打撃を受け、精神疾患を患うまでになってしまいました

当院での治療方針

患者さんはPRP(多血小板血漿)治療を選択されました。当院では、採血からPRPの抽出、注入のプロセス、そして治療後のリハビリに至るまでを順を追って丁寧に説明しました。そのため患者さん自身も治療の内容を理解することができ、納得して安心のもと治療に臨むことができました。

PRP治療とは?

患者さんの血液から血小板を高濃度に濃縮した血漿を抽出し、患部に注射することで、組織の修復や再生を促す治療法です。

自分の血液を使うため安全性が高く手術のような大きな負担がないことがメリットです。変形性関節症や腱のケガ、スポーツによる関節トラブルなどに幅広く用いられています。

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治療の経過と結果

治療を進めるなかで肩関節の可動域は徐々に改善し、痛みも軽減していきました。再びトレーニングが可能となり、競技への復帰を果たすことができました。さらに競技だけではなく、精神疾患も改善し、以前のように活力に満ちた生活を取り戻すことができました。患者さんからは「PRP治療を受けて本当によかった。感謝しかない」というお言葉をいただきました。

医師より

ボディビル競技は、身体的な強さだけでなく、精神的な集中力や日々の生活習慣の積み重ねが結果に直結する競技です。そのため、一度トレーニングができなくなってしまうと、競技の継続が困難になるだけでなく、生活全般にも大きな影響を及ぼします。今回の患者さんも、長年取り組んできたトレーニングが制限され、精神的な不調を抱えるまでになっていました。

PRP治療は、患者さんご自身の血液から抽出した多血小板血漿を用いることで、組織の修復を促すことが期待できる再生医療の一つです。手術に比べて身体への負担が少なく、競技復帰を望むアスリートにとって有効な選択肢となる場合があります。本症例でも、治療による機能回復に加えて、患者さんが再び目標を持って競技に取り組めるようになったことは大変喜ばしい成果でした。

私たちは、単に痛みを取り除くことだけでなく、患者さんが「自分らしい人生」を取り戻すお手伝いをすることを大切にしています。今後も同じように悩みを抱える方々に対して、一人ひとりに合った治療を丁寧にご提案してまいります。

記事の執筆者

南雲 吉祥

NAG整形外科院長:南雲 吉祥
整形外科専門医、スポーツドクター。元は整形外科領域のがん治療医として活動。その後、米国で再生医療の研究に従事する。渡米中のケガをきっかけに、スポーツ医学の重要性を認識。帰国後、スポーツ外科医に転身する。
現在、アスリートを血液解析と再生医療を用いた医療技術でサポートする、「アスリートサポートプログラム」を展開中。紹介ページはこちら