ウェルネスやエイジングケアの分野で、日々の「体のサビつき(酸化)」を防ぐアプローチが注目を集めています。健やかな体を維持するためには、体内で起こる酸化の仕組みを理解することが重要です。この記事では、酸化が引き起こされるメカニズムについて詳しく解説します。
そもそも「抗酸化作用」と「活性酸素」とは?
抗酸化作用とは、抗酸化物質が「活性酸素」の働きを抑えることを指します。まずは、この活性酸素が体内でどのように発生するのかをご説明します。

1. 生命維持とエネルギー産生に伴う発生
私たちが呼吸で取り入れた酸素は、体内のさまざまな臓器に運ばれて細胞内に供給され、エネルギーを産生してあらゆる生命維持活動に使用されます。そのうち約25%は脳が消費しています。
臓器から組織に運ばれた酸素は、細胞の中にあるミトコンドリアと呼ばれる器官に行き、エネルギーを産生する経路で使われます。酸素を継続的に供給することで、かまどに薪を焚べていくように、運動時だけでなく睡眠中にも絶え間なくエネルギーが供給されていきます。しかし、このエネルギー回路で使われた酸素はそのまま消えてなくなるわけではなく、別の物質に姿を変えます。これが「活性酸素」です。
2. 体内における活性酸素の役割と影響
活性酸素はよく“酸素の燃えカス”に例えられますが、実際は近くにある細胞に辿り着くと爆発を起こしてその細胞を破壊する、爆弾に近いイメージです。 私たちの体内にある白血球は、敵対する組織や外敵を見つけると、この活性酸素を使って相手を攻撃し、免疫反応を起こしています。
しかし、ストレスなどの影響で大量の活性酸素が生じると、本来守るべき細胞も攻撃されてしまい、様々な不調が引き起こされます。厄介なのは、ストレスや病気だけでなく、一見健康に良さそうな「高負荷・長時間の運動」でも、大量の酸素を消費することが原因で活性酸素が発生する場合がある点です。
活性酸素を抑える「抗酸化物質」とは?
こうした活性酸素の働きを抑える物質が「抗酸化物質」です。代表的なものとしては、食事やサプリメントから摂取できるビタミンCやビタミンE、また医療機関での美容・エイジングケアでも活用されるグルタチオンなどが有名です。体内の酸化ストレスと上手に向き合うことは、日々のコンディショニングにおいても重要な要素の一つです。
健康な組織を維持するためのアプローチ
体内の抗酸化経路を整えるためには、バランスの良い食事や質の高い睡眠、そして適切な運動強度のコントロールが不可欠です。当院のような整形外科や再生医療の現場においても、組織の炎症や痛みのコントロールと、体内の酸化ストレス(サビつき)の管理は密接に関わっていると考えられています。
まとめ
体内で起こる酸化のメカニズムを正しく理解し、体内の酸化ストレスと上手に向き合うことは、日々のコンディショニングにおいても重要な要素の一つです。
記事の執筆者

NAG整形外科院長:南雲 吉祥
整形外科専門医、スポーツドクター。元は整形外科領域のがん治療医として活動。その後、米国で再生医療の研究に従事する。渡米中のケガをきっかけに、スポーツ医学の重要性を認識。帰国後、スポーツ外科医に転身する。
現在、アスリートを血液解析と再生医療を用いた医療技術でサポートする、「アスリートサポートプログラム」を展開中。紹介ページはこちら。

