にんにく注射とは何か?
にんにく注射とは
人類とにんにくの付き合いは古く、古代エジプトにおいて既に栽培されていたとの記録があります。当時は薬として用いられていたようです。ヨーロッパでの魔除けとしての役割もよく知られていますね。日本には8世紀頃に伝わってきた言とわれていますが、食用に用いられ出したのは江戸時代に入ってからのようです。2023年現在、世界のにんにく生産量の8割は中国が占めており、日本では8割が青森で生産されています。
さて、「にんにく注射」と聞くと、あたかもすり潰したにんにく液を注射するような印象を受けますが、実際には異なります。にんにく注射とは、にんにく自体を注射するのではなく、ビタミンB1を中心とするビタミンB群製剤を静脈に注射する方法です。
ビタミンB1は体内のエネルギー産生で必要となる物資なので、これを静脈内に投与することで、効果的かつ短時間でエネルギー産生回路を刺激することが出来ます。結果として、疲労を改善する効果が期待出来るのが、にんにく注射です。
にんにく注射の定義と由来について
にんにく注射とは、ビタミンB1を中心とするビタミンB群を静脈に注射する方法です。ビタミンB1は体内のエネルギー産生で必要とされる物資なので、これを静脈内に投与することで、効果的かつ短時間でエネルギー産生回路を刺激し、疲労改善効果が期待されます。
にんにく注射という名前の由来
「にんにく注射」といっても、実際に、にんにくを加工して体内に投与している訳ではありません。ビタミンB1がにんにくのようなにおいがすることが、名前の由来になっています。実際に、注射開始後しばらくすると、ふんわりとにんにくの香りを感じることがあります。においは注射終了後すぐに消えるので、心配いりません。
にんにく注射に関する情報
ビタミンB1の働き
ここでは、にんにく注射の主要成分であるビタミンB1について説明します。
私たちの身体は体外から取り入れた糖を分解し、ミトコンドリアと呼ばれる細胞内小器官に運んでエネルギー産生を行なっています。そして、糖の分解産物をミトコンドリアに運ぶ際、ビタミンB1が補酵素として使われます。そのため、ビタミンB1が不足した状態ではエネルギーを十分に産生することが出来ず、疲れやすくなったり、疲労回復に時間を必要とするようになります。
また、糖質を過剰に摂取している場合も、糖の代謝にビタミンB1が使われ、相対的なビタミンB1不足から疲労を感じやすくなるのです。
ビタミンB1の役割
ビタミンB1は体内のエネルギー産生に重要な役割を果たしています。
私たちの身体は体外から取り入れた糖を分解し、ミトコンドリアと呼ばれる細胞内小器官に運んでエネルギー産生を行なっています。そして、糖の分解産物をミトコンドリアに運ぶ際、ビタミンB1が補酵素として使われます。そのため、ビタミンB1が不足した状態ではエネルギーを十分に産生することが出来ず、疲れやすくなったり、疲労回復に時間を必要とするようになります。
また、糖質を過剰に摂取している場合も注意が必要です。この場合は、糖の代謝にビタミンB1が使われ、相対的なビタミンB1不足から疲労を感じやすくなるのです。
にんにく注射の効果とメカニズム
■疲労改善効果
日頃、疲れがとれにくいと感じている方は、ビタミンB1が不足している可能性があります。ご飯や麺といった糖質の摂取量が多い方も注意が必要です。
にんにく注射によって静脈からビタミンB1を投与することで、ミトコンドリアのエネルギー産生回路を刺激し、エネルギー物質を短時間で生み出すことで、疲労改善効果が期待できます。
■二日酔いの改善効果
体内でのアルコール分解にはビタミンB1が必要となります。さらに、アルコールは水溶性ビタミンであるビタミンB1の体外への排泄を促してしまうため、アルコールの代謝不足から二日酔いに陥っている場合は、にんにく注射を行うことで症状を緩和出来る場合があります。
にんにく注射の副作用について
主要成分であるビタミンB1は「水溶性ビタミン」と呼ばれ、水に溶けやすい性質を持っています。その為、体内に取り入れても過剰分は尿中へ排泄され、過剰症はまず起こりません。そのため、重大な副作用のリスクはありませんが、悪心・嘔吐や下痢などの消化器症状や、注射部位の一時的な痛みが生じる場合があります。
にんにく注射の受け方や注意点
にんにく注射の効果が実感できるまでの期間
個人差はありますが、にんにく注射は比較的即効性があるのが特徴です。注射直後から疲労感が薄れるのを体感頂けると思います。
にんにく注射の歴史
にんにく注射は、ビタミン注射の発案者である日本人の内科医、平石貴久先生(平石クリニック院長)が考案されたと言われています。当時はスポーツ選手のコンディション管理に用いられ、徐々に一般の方の疲労改善方法として浸透していきました。
なぜにんにく注射と呼ばれるか
にんにく注射は、疲労回復に重要なビタミンB1を主成分としますが、その他に、アリシンと呼ばれる物質なども含む総合栄養注射です。このアリシンは、体内でビタミンB1の吸収を高め、後述するエネルギー産生作用を後押しします。一方で、アリシンは、にんにく特有の臭い成分でもあります。その為、本注射を行うと喉の奥からフワッと湧き上がる、ほのかなにんにくの香りがあり、これが「にんにく注射」と呼ばれる原因となりました。ただ、繰り返しになりますが、にんにく自体を注射している訳ではありません。
にんにく注射を受けるべき頻度
疲労改善を主目的に置く場合、特に決まった投与頻度はありません。患者様自身の体調、スケジュールに合わせて、週に1回から月に1回程度のペースで受ける方が多く見られます。
にんにく注射に関するQ&A
にんにく臭くなりますか?
注射開始後、すぐに喉の奥からふんわりと漂うにんにくの香りを感じます。ただ、この臭いは一般的にご本人が感じるだけ、注射後に息や体臭が臭くなる心配はありません。
にんにく注射はどのくらいの時間がかかりますか?
5分程度で終了します。
にんにく注射には、即効性がありますか?
本注射は、即効性の高さが特徴です。一般に、注射直後から倦怠感が薄れ出し、疲労感の軽減を感じます。運動や仕事等で疲れが溜まってきた時に、最適な治療法の一つです。
にんにく注射の効果はどのくらい続きますか?
一般に、数日から1週間程度、疲労感の軽減をご体感頂けます。その為、週に1回ほどのペースで打たれる方もいらっしゃいます。
にんにく注射と、他の注射などを組み合わせることはできますか?
可能です。
にんにく注射はドーピングの対象になりますか?
にんにく注射の内容成分自体は問題ありませんが、シーズン中のアスリートは、ドーピング規定により静脈注射そのものがドーピング行為とみなされる場合がありますので、ご注意ください。
にんにく注射は何に効果的ですか?
疲労の改善や二日酔いの改善に効果が期待できます。
にんにく注射はどのくらいの頻度で受けるべきですか?
特に決まった投与頻度はありません。普段の食事・生活内容によっても異なるため、医師とよく相談して下さい。
NAG整形外科でにんにく注射をご希望の方は
下記よりご予約ください。
記事の執筆者
NAG整形外科院長:南雲 吉祥
整形外科専門医、スポーツドクター。元は整形外科領域のがん治療医として活動。その後、米国で再生医療の研究に従事する。渡米中のケガをきっかけに、スポーツ医学の重要性を認識。帰国後、スポーツ外科医に転身する。現在、アスリートを血液解析と再生医療を用いた医療技術でサポートする、「アスリートサポートプログラム」を展開中。紹介ページはこちら。