PRP治療の定義と意味とは
私たちの血液には、赤血球、白血球、血小板という3つの成分が含まれます。
それぞれの役割は以下の通りです。
①赤血球:酸素運搬を行う
②白血球:免疫反応に関わる
③血小板:血液を固めて傷を塞ぐ
血小板は血液を固めて(凝固と呼びます)、傷口を塞ぎ、創部の治癒を行う役割を持ちます。
私たちが怪我をした時にできる「かさぶた」も、血小板の働きによるものです。
つまり、血小板には炎症を抑え、傷付いた組織を修復する作用があるのです。
この働きに注目して生まれたのがPRP療法です。
PRP(Plate Rich Plasma)とは日本語で「多血小板」と訳します。
私たちの体内の血小板を高濃度に濃縮し、炎症を起こして傷付いた関節、筋肉や腱などに投与することで、炎症を抑え、痛みを緩和することを目的としています。
PRP療法が使われる疾患とは?
PRP療法は現在、様々な疾患に用いられています。NAG整形外科で用いるのは以下の2分野です。
①関節
関節炎、変形性関節症、半月板損傷、関節軟骨損傷など、様々な原因で起きる関節の炎症、痛み
②筋、腱
筋炎・筋膜炎、腱炎(アキレス腱炎、捻挫、テニス肘、ゴルフ肘、腱鞘炎など)
PRP療法の仕組み
PRP療法が効果を発揮する仕組みとは?
PRP療法では、ご自身の血液から血小板を取り出し、高度に濃縮します。
次に、これを患部に注入することで、血小板に含まれる成長因子が炎症を抑え、痛みを改善していきます。
PRP療法のメリットとデメリット
PRP療法のメリットは?
- 自分自身の血液を利用するため、異物によるアレルギー反応や感染症のリスクが少なく、安全性が高い点が挙げられます。
- 従来の治療法に比べ、高い治療効果が期待出来ます(標準治療に対し反応性が悪い場合に適応となります)。
- 入院や手術は不要、受診当日に治療を行い、即日帰宅できます。
PRP療法のデメリットは?
個人差がありますが、効果発現には一定の期間が必要で、即効性に欠けます。
PRP療法の実施方法と注意点
PRP療法の実施方法とは?
PRP療法は外来で行えます。
- ご自身の血液を採血
- 採取した血液を遠心分離し、血小板成分(PRP)を抽出(約1時間)
- PRPを患部に注射、注射後はご帰宅頂けます。
PRP療法の注意点は何がある?
以下に該当する方はPRP治療を受けることができません。
がん治療中
感染症がある
発熱がある
薬剤過敏症がある
免疫抑制剤を飲んでいる
NAG整形外科でPRP治療をご希望の方は
下記よりご予約ください。
参考文献:
記事の執筆者
NAG整形外科院長:南雲 吉祥
整形外科専門医、スポーツドクター。元は整形外科領域のがん治療医として活動。その後、米国で再生医療の研究に従事する。渡米中のケガをきっかけに、スポーツ医学の重要性を認識。帰国後、スポーツ外科医に転身する。現在、アスリートを血液解析と再生医療を用いた医療技術でサポートする、「アスリートサポートプログラム」を展開中。紹介ページはこちら。