グルタチオン点滴とは?グルタチオン点滴ならNAG整形外科

この記事ではグルタチオン点滴について解説しています。

グルタチオンとは、学術的定義

一般に「白玉点滴」として知られるグルタチオン点滴。近年の美白ブームと共に、提供価格の手頃さから、取り扱う医療機関も多くなってきました。ところで、グルタチオンとは、一体どんな物質なのでしょうか?

グルタチオンは々、私たちの体内に広く分布する酵素です。グルタミン酸、システイン、グリシンと呼ばれる3つのアミノ酸から構成されています。

美白治療の中心物質として広く浸透するグルタチオンですが、体内における重要な働きは、解毒作用です。私たちは体内に取り込んだ薬物などを、肝臓で無毒化した上で体外に排出します。この薬物代謝を行う酵素がグルタチオンなのです。

また、体内で発生した活性酸素や酸化ストレスの除去にも、グルタチオンが活躍します。すなわちグルタチオンは、抗酸化物質として細胞内の酸化的ダメージを修復し、細胞を守る働きがあるのです。さらに、免疫調節や解毒作用なども持っており、細胞の健康状態維持に欠かせない成分です。

グルタチオン点滴はいつから臨床で用いられるようになったか

日本では1960年台に、医薬品の原料として販売が開始されました。当初は主に肝臓疾患や中毒の治療に使用されていましたが、その後、美容や抗酸化効果を求める人々にも広がりました。また、近年ではパーキンソン病の治療薬としての有効性にも注目が集まっています。パーキンソン病では脳内のグルタチオンが減少していることが分かっており、これを体外から補充することで脳細胞を保護し、運動機能を改善する効果が期待されています。

なぜグルタチオン点滴は白玉点滴と呼ばれるか

これは、後述するグルタチオンの美白効果を受けて付けられた名称のようです。白玉のように透き通った白さを手に入れる、というコンセプトが伺えます。他にも、グルタチオン点滴を愛用する著名人の名前を添える場合もあるようです。

グルタチオン点滴の効果

美白効果

私たちの皮膚は、紫外線により皮膚で発生する活性酸素から細胞を保護する目的で、メラニン色素を産生します。このメラニン色素の産生が過剰になってくると、多量のメラニン色素が皮膚に沈着し、シミの原因となります。

グルタチオンは抗酸化作用によって、紫外線による皮膚の活性酸素発生を抑え、結果としてメラニン色素合成を防ぎ、シミの発生を抑えます。また、メラニン色素合成の阻害によって、くすみを改善し、透明感を持った美白肌へと導く効果が期待されます。

異物・有害物質(薬剤など)の排出効果

グルタチオンは体内の有害な物質に結合し(これをグルタチオン抱合と呼びます)、を体外に排出する解毒作用があります。グルタチオン抱合を受けた物質は水への溶けやすさ(親水性)が大きく上昇し、胆汁や尿中への排泄効率が上昇するのです。この働きは、体内を循環した薬物の代謝において、重要となっています。

活性酸素・酸化ストレスの除去

グルタチオンは私たちの細胞内に含まれる代表的な抗酸化物質です。細胞に障害を与える酸化ストレスを除去し、外的ストレスから守る役割を持っています。酸化ストレスは体内で炎症を引き起こし、慢性的な疲労の原因となっています。グルタチオンの細胞保護作用は、体内の酸化ストレス軽減により、疲労の改善効果にも期待できます。

尚、抗酸化物質としてよく知られるビタミンCやビタミンEも、グルタチオンによる酸化ストレス除去作用を介して体内の活性酸素の処理に働いています。

グルタチオン点滴はこのような方にお勧めです。

  • シミやくすみ、肝斑
  • 肌荒れ
  • 二日酔いの解消
  • 慢性疲労
  • 慢性肝疾患
  • パーキンソン病

グルタチオン点滴の副作用

一般的にはグルタチオン点滴は安全性の高い治療法とされています。製剤添付文書によると、副作用の発生頻度は0.4%程とされ、食欲不振、悪心・嘔吐、場合によっては発疹等が見られることがあります。

高濃度ビタミンC点滴との併用は注意

グルタチオン点滴と同じく人気の治療法として、高濃度ビタミンC点滴があります。ただし、高濃度ビタミンCの抗酸化作用がグルタチオンで弱まる可能性がありますので、同時に行う場合、高濃度ビタミンCは25gまでの投与をお勧めします。

グルタチオン点滴を受けるべき頻度

目的により異なりますが、一般に週に1〜3回の頻度で行います。

1回の所要時間は濃度により異なりますが、高濃度の場合は30分程度、濃度が低い場合は10〜15分程度です。

NAG整形外科でグルタチオン点滴をご希望の方は
下記よりご予約ください。

記事の執筆者

NAG整形外科院長:南雲 吉祥
整形外科専門医、スポーツドクター。元は整形外科領域のがん治療医として活動。その後、米国で再生医療の研究に従事する。渡米中のケガをきっかけに、スポーツ医学の重要性を認識。帰国後、スポーツ外科医に転身する。現在、アスリートを血液解析と再生医療を用いた医療技術でサポートする、「アスリートサポートプログラム」を展開中。

参考文献:

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