今回はスーグラという内服薬について、説明していきます。
スーグラの基本情報
- 一般名:イプラグリフロジンL-プロリン
- 製造会社:アステラス製薬(日本)
- 発売年度:2014年
スーグラは日本で開発された内服薬です。SGLT2(エスジーエルティーツー)阻害薬という種類に分類される糖尿病治療薬で、血液中の糖を尿に排出していくことで、血糖値を下げます。一般的な糖尿病治療薬がインスリンを介して血糖効果作用を示す中、SGLT2阻害薬はインスリンとは関係なく血糖値を下げる効果を持ちます。
糖輸送体について
体内の細胞には細胞膜と呼ばれる“脂(あぶら)”でできた膜状の構造物があります。そのため、細胞内外を行き来する糖は、それ単体では動くことが出来ず、特殊なタンパク質の助けを得て初めて細胞内へと入っていきます。
体内で糖(グルコース)の運搬に関わるタンパク質を輸送体、またはトランスポーターと呼びます。糖の輸送体にはSGLT(ナトリウム-グルコース輸送タンパク質)の他に、GLUT(促進拡散型グルコース輸送担体)があります。SGLTはナトリウムの濃度勾配(組織間の濃度差)を利用して糖の輸送を行うのに対し、GLUTは糖の濃度勾配に従って、受動的に輸送を行います。
SGLTにはSGLT1とSGLT2の二種類が存在します。どちらも糖輸送タンパクですが、存在部位が異なります。SGLT1は腎臓以外にも腸管に存在し、SGLT2は腎臓の尿細管(特に近位尿細管と呼ばれる腎臓寄りの部分)にしか存在しません。
SGLT2阻害薬とは
私たちの身体を巡った血液は、腎臓を通って尿細管という組織に流れ込みます。尿細管は、血液中から必要な物質を再吸収して体内に取り込み、不要になった物質を尿として体外へ送る役割を持っています。SGLT2は尿細管の近位(腎臓寄りの部分)に存在するタンパク質で、尿細管に流れてきた尿から糖を再吸収し、体内に取り込む働きをします。通常、糖はSGLT2によって90%近くが再吸収されます。SGLT2による再吸収を逃れた糖も、尿細管の遠位(腎臓から離れた部分)に存在するSGLT1により再吸収されるため、結果として尿中に糖が出現することはありません。
SGLT2阻害薬は名前の通り、このSGLT2の働きを抑え、尿中への糖排泄促進と体内への糖再吸収抑制を介して、血糖値を下げる働きを持ちます。
用法用量
50mgを1日1回朝食前又は朝食後に経口投与します。
スーグラの適応疾患は上記の通り糖尿病(1型または2型)であり、症状に応じて100mgまで増量することができます。
ダイエット薬としての効果
SGLT2阻害薬は、尿中への糖排泄を促進することで血糖降下作用を持ちますが、血液中の糖が減少することで、カロリーロスによる体重低下・肥満の改善が期待されます。
SGLT2阻害薬を用いて非糖尿病患者376名を対象に減量効果を検討した研究では、12週間の連続投与により、-2.9%の体重変化が見られました。
副作用
主な副作用として、尿路感染や膣カンジダ症等の性器感染の報告があります。これは、尿中の糖含有量が増加することに起因すると考えられます。また、尿中糖濃度の増加に伴い、水分排泄が進むので頻尿や口の渇き、便秘といった症状が見られる場合があります。
その他、重篤な副作用としては、低血糖、腎盂腎炎、外陰部及び会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)、敗血症、脱水、ケトアシドーシス、ショック、アナフィラキシーがあります。
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記事の執筆者
NAG整形外科院長:南雲 吉祥
整形外科専門医、スポーツドクター。元は整形外科領域のがん治療医として活動。その後、米国で再生医療の研究に従事する。渡米中のケガをきっかけに、スポーツ医学の重要性を認識。帰国後、スポーツ外科医に転身する。現在、アスリートを血液解析と再生医療を用いた医療技術でサポートする、「アスリートサポートプログラム」を展開中。紹介ページはこちら。