近年、「医療痩身」という言葉が広がりを見せています。従来は疾患の治療に用いていた内服薬を、その減量効果と安全性に着目して、一般の方の減量サポートに用いていこうというものです。この記事では、これらの薬剤の特徴、減量効果、副作用、および併用ができない内服薬について詳しく説明します。
メトグルコ
ビグアナイド系と呼ばれる糖尿病治療薬です。一般名はメトホルミンといいます(メトグルコは商品名です)。その歴史は古く、1950年代から医療現場で使用されています。現在では、糖尿病の第一選択薬として推奨されている薬剤です。薬価の安さも特徴で、他の糖尿病治療薬と比べると患者様の自己負担が少なく導入することができます。
特徴:糖消費を助け、糖吸収を抑制する
糖尿病治療薬としてメトグルコは、血液中の糖を組織に効率良く取り込むと共に、肝臓での糖新生を抑制することで血糖降下作用を示します。さらに、余分な糖分を尿中に排泄することによっても、体内の血糖値を管理しています。
内服方法
添付文書に基づき、1日500mgより開始します。食前または食後に内服します。
減量の効果
2017年、日本国内で行われた臨床試験においてメトグルコの減量効果が報告されました。
これは、2型糖尿病を有する肥満患者(平均BMI 25.3)169名を対象に、54週間に渡ってメトグルコを内服するというものです。結果、平均1.2kgの体重減少が報告されました。体重減少量幅としては比較的マイルドであるため、運動や食事療法と並行しての使用が望ましいと言えます。
副作用、注意事項
次の方は、メトグルコを服用頂けません。
- 腎機能障害・透析中の方
- 脱水の方、過度のアルコール摂取を行う方
- 心血管・肺機能障害、手術前後、肝機能障害などをお持ちの方
- ご高齢の方
上記の人が服用すると稀に重篤な副作用を引き起こす場合があります。
その一つが、乳酸アシドーシスと呼ばれる病態です。
乳酸アシドーシス
体内の乳酸が増え、血液が酸性に傾く状態です。頻度としては稀ですが、重症例では死亡の報告もあるため、注意が必要です。
腹痛・下痢・嘔吐などの消化器症状や、全身の倦怠感、筋肉の痛み、といった症状から始まり、次第に過呼吸、血圧・体温低下、意識障害等が出現します。
メトグルコ内服中に上記症状が出現した場合は、速やかに内服を中止し、医療機関を受診しましょう。
また、造影剤を用いた画像検査を受ける際には、造影剤の影響で腎機能が低下し、副作用が出現しやすくなります。このような検査を予定される方は、事前に医師に相談しましょう。
NAG整形外科でダイエット内服薬メトグルコをご希望の方は
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記事の執筆者
NAG整形外科院長:南雲 吉祥
整形外科専門医、スポーツドクター。元は整形外科領域のがん治療医として活動。その後、米国で再生医療の研究に従事する。渡米中のケガをきっかけに、スポーツ医学の重要性を認識。帰国後、スポーツ外科医に転身する。現在、アスリートを血液解析と再生医療を用いた医療技術でサポートする、「アスリートサポートプログラム」を展開中。紹介ページはこちら。
参考
Morita Y, et al. Enhanced Release of Glucose Into the Intraluminal Space of the Intestine Associated With Metformin Treatment as Revealed by [18 F]Fluorodeoxyglucose PET-MRI. Diabetes Care. 2020
Odawara M, et al. Long-term treatment study of global standard dose metformin in Japanese patients with type 2 diabetes mellitus. Diabetol Int. 2017